2026初夏ガイドレポート~『サイト&ライズ・レインボー編』
- Master Fishcamp
- 7月30日
- 読了時間: 14分
今年の初夏も、素晴らしいシーズンになりました
毎日ガイドをする――5~7月は75日間ほぼ連続。
フルタイムガイドとして、毎日ガイドを続けながら、この内容なら、かなり出来の良いシーズンだったのではないかと自負しております。
たぶん、不満だったゲストは、ほとんどいなかった……でしょう。
北海道のようなフィールドで、コンスタントに40~50cmオーバーの魚と対峙してもらい、そのライズを毎日違う場所で狙う。
これは、かなり難しいことです。
もちろん釣り場はローテーションさせます。一つの場所には、ある程度の間隔を空ける必要がありますから、毎日となると、いくつかの河川を含めて20カ所ほどのポイントを回ることになります。
余談ですが、まれに、リリースした魚が同じ日に再び釣れることもあります。
これも、ハッチのピークシーズンならではの出来事だったりしますが……。
ガイドにとって、釣り場のローテーションは重要
ガイドは通常、釣り場の選択やローテーションに苦労します。
ショボい釣りを提供してしまえば、来年の予約は入らないからです。
しかし、良い魚のポイントを無数に用意することはできません。
良い釣りをしてもらうためには、数少ない良好な釣り場を休ませ、休ませ、やむを得ず、適当な場所を案内する……。なんてことは、FishCampではしませんが。
結果として、一日単価を上げ、高い金額をお支払いいただけるゲストを対象にし、それまで以上に良い釣り場を案内する方向へシフトしていく。
高額なガイド料とは、そのようにして上げていくのが、ビジネスとしては合理的なのだと私は思います。
当方のガイド料金も、車両費用や滞在費用が高騰していますので、徐々に上げさせてもらっています。一人一日料金としては、いつの間にか「中堅の上」くらいの価格帯になりました。
でも、国際基準に照らして考えれば、北海道の釣り場では、これくらいが妥当だと思っています。
外国人ゲストともよく話をしますが、
「妥当な価格では?」
と言われることも多く、私自身もそう思っています。

外国人ゲストが増えてきました
おかげさまで、外国人ゲストの比率も40%ほどになってきました。
外国人ゲストには、カジュアルな方と、かなりシリアスに釣りをする方がいます。
私のところでは、前年からメールのやり取りを繰り返して予約されるような、いわゆるシリアスなゲストが半数以上と多いですね。
そういう方々から高い評価をいただけるのもうれしいのですが、外国人ゲストはそれぞれネットワークを持っています。
一見さんが多い外国人ゲストだからこそ、その先への期待が膨らみます。
逆に、
「どうせ一見だから……」
と適当に扱うガイディングでは、次につながりません。
某国某州の狩猟局に勤めるゲストから、北海道のネイティブフィッシュを対象にしたガイドを依頼されたこともありました。
魚の生態や行動を説明しながらガイドし、見事に2種のネイティブフィッシュを釣って帰られました。
「大変満足した」
と感謝されたことこそ、ガイド冥利に尽きるというものです。
「それは無理」と言うことも、プロの仕事
特に宣伝などはしていないのですが、口コミやAI検索で上位に来るようになったからでしょうか。最近は、かなり頻繁に問い合わせが来るようになりました。
ただ、時期や希望する釣りの内容を聞いて、
「それは無理です」
とはっきり伝えることもあります。
それもまた、評価につながっているのだと思います。
実際、
「プロの公正なアドバイスに感謝します」
というメッセージをいただくことも多いです。
何でも「できます」と言うことが、良いガイドというわけではありません。
その時期、その川、その魚の状況を考えて、できないものはできないと伝える。
それもプロガイドの仕事だと思っています。
英会話も、ここにきて役立っています
英会話も、ここにきてずいぶん役立っています。
ガイド中は、釣りや魚、北海道の自然、農業や漁業の話など、いろいろな話をします。
私があまりに自然に英語で話をするので、たいていのゲストはびっくりします。
しかし、これは自慢などではなく……。
実は、僕の記憶単語は、わずか300語程度。極少です(笑)。
その数の少なさが逆に、考えなくても、翻訳しなくても、言葉が出るようになっています。
単語を覚えすぎても弊害がありますよ、ということで、勝手にそう思ってます(笑)。
AI時代と、北海道の釣り
一方で、AI検索は多岐にわたっていて、かなり広範囲に情報を集めるようになっています。
その結果、
「北海道の河川でサケやサクラマスを釣ることは、特別採捕などを除き、完全に違法である」
という認識が、外国人の間にも広まってきたことを、私は喜ばしく思っています。
ここで、法律そのものの内容や妥当性を問うつもりはありません。
今回問題にしたいのは、違法行為をビジネスとして行うことの是非です。
フィッシングガイド業界というものが形成されつつあるなかで、それが不健全な業界になるのか。公平な競争が保てるのか。
ズルをするガイドと、ズルをしないガイドとの間で、公正な競争が保てるのか。
そうしたビジネスとしての観点から考えれば、違法なガイドは淘汰されるべきだと私は考えています。
違法行為を繰り返すガイドたちが、
「サクラマスを解放しろ!」
と声を上げたところで、社会や行政は耳を傾けてくれるのでしょうか。
そんなことも改めて考えさせられる、AI時代ではあります。

さてそろそろ、本題に行きましょう
今年の初夏シーズン、ガイド初めは5月中旬。
ハンノキの新芽が出るころには、すでに河畔にはフキが大きく伸びています。
例年よりも早い進行でしたが……。
さて、本題に行きましょう。
この夏は、過去40年のフライフィッシング体験の中では、かなり平均的な気候だったように思います。
なつかしい季節感…。
そんな感じでしょうか。
今回のレポートは、そんな今シーズン前半の記録です。
結論から先に言うと、ゲストの釣りはベストを更新しつつ、ガイドビジネスとしても過去最高を更新しております。
暑かった春から、穏やかな初夏へ
まず、春の4月から5月前半までは、30℃近い日がありました。
温度的には、ここ5年の中では平均的。
つまり、暑い春だったわけです。
しかも道東方面は、全体的に雪が少ない場所が多かった。
今年も早くから暑くなることを覚悟していましたが、拍子抜けするほど穏やかに季節は進みました。
それは8月になった今も同じで、どこか懐かしい夏の気候です。
5~6月のキャンプをしている山間部では、夜間にマイナスになった日が2夜もありました。
着ているウェアも、パタゴニアのインサレーションが大活躍。
感覚的には、秋遅くと変わらないほどでした。
しかし、それが水生昆虫の羽化には、好条件に働くのです。

シーズン初期は「サイト&ドライ」
5月中旬はすでに、カディスの集中ハッチが見られる時期です。
ガイド初日までに、その年の魚のサイズと数、そして、すでにハッチが始まっているプールを特定しておきます。ですから、魚がいるかどうかという不安はありません。
しかも、たいていはまだスレておらず、シーズン最初にフライを見るような個体も多い。
釣果は、かなり期待できるわけです。
シーズン最初のゲストは、釣果だけで言えば、40cm台半ばから最大50cm台前半までのレインボーを、10尾近くヒット。
当然、ライズ狙いでドライフライのみです。
米国帰りのゲストも、ホクホクだったように思います。
誤解のないように記しておきますが、「米国」と一口に言っても、フィールドはさまざまです。日本から訪問するエリアとして有名なモンタナやアイダホは、川も魚も多い。
北海道は、そこまでではありません。
一方で、カリフォルニアや、もう少し控えめな州と比べれば、魚のサイズは十分だと思います。
あとは魚の数と釣り人の数を勘案しながら、アメリカ人にも満足してもらえるポイントを選びます。
しかし何より重要なのは、シングルハンドでドライフライという、ワールドワイドな要望に応えられるだけのガイドスキルがあるかどうかです。

カディスの10日間
5月中旬からのシーズン初期は、カディスオンリーという日が一週間ほど続きます。
緩やかな流れの中で、スプラッシュライズを繰り返す個体には、カディスピューパのパターンが必要になります。
もちろん、絶対はありません。
フライをローテーションしながら、魚の好みと流し方を変化させることで、成功へ導きます。
50cm前後の良型がヒットして、満足感も大きな釣りになりました。
これも、ザ・フライフィッシング。
平均すると40cm前半、そして50cm前半のライズに、もれなく挑戦していただけました。
この界隈では、なぜか高額Winston AIR 2の購入者が増えております。
ときどき振らせてもらいますが、いいロッドですねぇ……。
例年、5月中旬から下旬にかけて、メイフライが羽化する少し前の時期は、カディスのハッチが盛んになります。
20日前後には、スーパーハッチが数日見られる年も多い。
今年も20日過ぎに3日ほど、橋の上を通ると、バシバシと無数のカディスが車に当たってきました。

カディスのパターンと流し方
この時期に目立って見られるトビケラは、「アメリカカクスイトビケラ」を中心とした、ケース筒の巣を持つカディスです。
アダルトなら、CDCカディスやタシロカディスで対応します。
フックサイズは12番。
色はタンカラーを基本に、ボディはライトオリーブとタンを用意しておきます。
フローティングピューパは絶対的ではありませんが、完全に浮いているフライにスレた個体には、水面からボディだけをぶら下げるサスペンド仕様で対応します。
アダルトで食わなかった個体の7割ほどは、これでヒットに持ち込めます。
ただし、ドラグの掛かったフライを2回も頭上に流してしまうと、大きく賢い魚は反応しなくなります。
パターンと同時に、流し方も重要ということですね。

このエリアでは、5月中旬から下旬にかけて、ハッチの多いカディスが目立ちます。
ボディは淡いグリーンで、サイズは12mm前後。
もっとも、この時期は似たようなケースをまとったトビケラのハッチも多く、色はグリーンからクリーム、サイズも10mm前後と多様です。
ですから、ライズしている魚を見つけたら、パターンを変えながら反応を見るのが良いでしょう。
ちなみに、カクスイやマルツツといった、植物の繊維でケースを作るタイプのカディスは、私がガイドする川では、沈倒木や枝、湧き水のある場所でバイカモに多く生息します。
私のエリアでは、大石や小石の川床には少ない傾向があります。
カディスそのものの寿命は一週間程度と言われていますが、順次ハッチは夏まで続きます。
そのため、ごく初期を除けば、ピューパ、アダルト、スペント(Vスペント)と、反応の良いパターンが変化していきます。
北海道で、この手の釣りをコンスタントにできる場所は多くはありません。
カディスに特化した釣りで、マッチング・ザ・ハッチを堪能できる。
これも、FishCampの大きな魅力です。
サイズは12~14番。
いわゆるタンカラーのカディスで対応します。
鹿などの獣毛を使ったエルクヘア、ディアヘアのカディス、CDCカディスなど。
ボディもブラウン、タン、グリーンなどを揃えておけば良いでしょう。

そして、カゲロウが始まる
さて、カディス一辺倒の10日間が過ぎると、
いよいよカゲロウ、メイフライが始まります。
もちろんカディスは、シーズン中ずっと続きます。
メイフライでは、今年はなんと、
オオクママダラカゲロウの当たり年。
昨年多かったチェルノバマダラは、沈黙しました。
一口に「多かった」と言っても、実際のところは「ハッチの集中が何日か続いた」という意味です。
目立つ曇りや小雨などの日が続くと、そうした日が現れます。
また、数年おきに、目立つ年と目立たない年が繰り返される現象でもあります。
今年のようなオオクマの年は、前回が2022年でしたので、3年ぶり。
1年の積算温度と気象が、うまくマッチしたのでしょう。
オオクママダラカゲロウ
オオクママダラカゲロウの特徴は、メイフライとしては大型で、ブリッとした太めのボディ。そして、あの濃く目立つウィング。
水面を注目するトラウトの目を引くのは間違いないようです。
そして、水面を注目する理由は、水面羽化型であるという生態によるものでしょう。
ニンフのまま水面に浮上し、空気に触れてから羽を広げます。
その時間は無防備です。
トラウトから見れば目に入りやすく、捕食しやすいわけです。
北海道の渓流で多く羽化するエルモンヒラタカゲロウとは、対照的です。
サイズは12番。
グレーのウィングが目立ち、トラウトに強烈にアピールするのが、オオクママダラカゲロウの特徴です。
オオクマのハッチが始まると、まもなく緩い流れの中で、大きなライズリングが広がり始めます。オオクマはニンフのまま水面に浮上し、水面で羽を広げてダン(亜成虫)となり、飛び立つ。その瞬間は、トラウトにとって格好の餌となります。
天候もライズの多少に影響します。
曇り空などで羽根が簡単に乾かない日は、水面を漂う時間が長くなる。
やはり、トラウトの捕食機会になりやすい天候です。


6月から、ライズシーズンのピークへ
オオクマのあと、6月初旬からは恒例のモンカゲロウ。
そして、ヒゲナガカワトビケラへと続きます。
昨年までも何度かレポートしているので、詳細は省きますが、今年も6月から7月初旬まで、順調にライズシーズンのピークを迎えました。
新緑が出てすぐに陸生昆虫も発生して飛び回り、実際に捕食される場面も増えます。
今年は蛾や蝶類のケムシ、アオムシが大量発生しました。
これについては、レポート後半のアメマス編で、セミのレポートとともに解説していきます。
今シーズン前半を終えて
5月中旬から入っていたゲストの方々は、リピーターの方も、お初の方も、ほとんどの方が驚き、興奮し、記憶に残る釣りをしてくださっているようです。
おかげさまで、来年の予約も順調に進んでおります。
ガイドとしては、毎日違うゲストに、毎日違う場所で、良い魚と出会ってもらう。
それを120日間続ける。
簡単なことではありません。
だからこそ、今シーズン前半を終えて、ゲストの釣りもベストを更新し、ガイドビジネスとしても過去最高を更新できたことは、素直にうれしく思っています。
北海道のライズフィッシングは、まだまだ面白い。
ご希望の方は、ぜひお早めに。
北海道の素晴らしいライズの釣りを、ぜひ堪能しにいらしてください。






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